福岡 賃貸の役割
道路や公園の配置、建物にかかわる制限といった身近な街づくりの方向とルールを、それぞれの地区の、ご近所どうしで決めていこうというものです。
たとえばご近所の人たちと家を新築し、建て替える場合のルールを以下のように決めるとします。
道路との境界線から三メートルは後退させて建てる。
両側は隣地から一メートルずつ空ける。
三階建てにする。
建物が実際に三メートル下がって建っているか、一メートル空いているかどうかは、だれが見てもすぐにわかる。
この計画案が〈地区計画〉として最終的に決定されると、それに違反したトラブルが発生した場合、役所が是正を勧告できるし、地域社会でも、いっぺん決めた約束はまもるよう指摘することができる。
つまり「私」の側でのトラブルは、なるべく「私」の側で解決がはかれるようにしてゆくわけです。
このような身近な範囲での〈地区計画〉のほかに、もう少し大きい範囲でできるものもあります。
たとえば電鉄会社が分譲する住宅地の場合。
仮にわたしがセールスマンだったとすると、Bさんに土地を分譲する際、この分譲地は〈地区計画〉が定まっております。
それはカクカクシカジカです。
それにご同意いただくことを条件にお売りいたしますから、ハンコをついていただけませんかと提案することができる。
土地をもっている人(この場合は電鉄会社の不動産部)が役所と相談をして、最初に〈地区計画〉を決めておく。
そうすれば、土地を買う人も決まりに拘束されることになります。
こういう例がだんだん広がってきています。
中山道に面した仲町・愛宕地区は住民参加により「地区計画」を成功させた街だ。
上の図はこの地区の問題点をマップにしたもの.下は実際に進められた計画図。
いずれも「快適でうるおいのあるまちづくり」より。
があります。
いくつか例をあげておくと、まずは〈再開発地区計画〉です。
容積率などの制限を緩和して、大きなビルをつくることができる。
たとえば、ある企業が工場跡地の有効な土地利用を考えて、マンションの建設を計画したとします。
ところが工業専用地域ですから、マンションは建てられない。
容積率もせいぜい二百パーセントです。
なんとか容積率を三百パーセントにしてもらってマンションを建てたい。
そこで企業は役所に行って、こう申請します。
駐車場もつくります。
公共に役立つ整備をしまずから、ぜひ容積率を上げて住宅団地ができるようにしてください。
役所側では、「企業が土地まで提供して公共的なことをやるというなら、こっちにとっても渡りに舟である。
土地利用転換を認めよう」となります。
これとは逆に、住民側が、役所が決めたものよりも厳しい〈地区計画〉をつくる場合もあります。
よい環境をまもるために、ラブホテルやパチンコ店といった遊興施設を締め出そうとする場合などですね。
埼玉県上尾市の中山道を挟む仲町・愛宕地区でも、役所が決めた容積率よりもさらに低い容積率で街づくりをしています。
仲町・愛宕地区は、本来、容積率四百パーセントの商業地域(三ヘクタール・百九十戸ほど)です。
中山道沿いに並ぶ商店の裏側は、昔からの二階建て家屋が密集している。
そこで〈地区計画〉では、街道沿い地域を商業ゾーン、裏側を住宅ゾーンに区分して、住宅ゾーンを容積率二百パーセントに押さえることに決めました。
高層マンションがあちこちに建つと、日陰になる家が増える。
そこで住まいの環境をまもるという自衛の気持と、地区の活性化をはかるために、法律的に認められた土地利用の権限を三分の二ぐらいに自発的に縮小したわけです。
高さを制限し、共同建て替え(四階建て・五十八戸ほか)をすすめていく。
それによって良質な住宅を得ることができる。
敷地に共有のゆとりが生まれ、日照も確保できて、快適な環境をつくり出すことができる。
〈地区計画〉は、都市計画学会の平成二年の計画設計奨励賞をもらっています。
東京・墨田区の一寺言問地区の街づくりも有名です。
防災対策に力を入れている下町らしく、住民による街づくりのアイディア「路地尊(ろじそん)」で脚光を浴びました。
路地尊とは、個人の家の雨樋から集めた雨水を地下の貯水槽に溜めて災害に備える、いってみれば、現代版の天水桶です。
お風呂屋さんや住民の人々が自分の庭先を提供して、積極的に街づくりに参加しています。
だれが舵を取るのか市民の声を生かして〈地区計画〉をすすめるとなると、さまざまな立場があり、利害関係もからんで、お隣どうしでも意見が合わない場合があるかもしれません。
だれかが取りまとめていかねばならない。
では、だれがやるのか?まずは役人が取りまとめを引き受ける場合です。
たとえば市役所の都市計画課の人が、問題がありそうな地域にでかけて行く。
Aさんたちが「いざ動き出してみたが、自分たちだけでは計画がまとめられない」となったら、再度、役人がでかけていって手伝う。
結果として、〈地区計画〉が、市民の意思を受けるけれども、市が決めた〈地区計画〉ということになる。
民間の、AさんならAさん自身が猛烈に街づくりに目覚めたときです。
建築家と民間の専門家、建築家や都市計画家に新しいプランづくりを依頼する。
「よしきた」と引き受けて、「タダ働きとはいきませんから、最初は、とりあえず地区住民百人が二万円ずつ出して、二百万円でやってもらうことにする。
それだけでは折り合いがつかなくなったら、Aさんが市役所に行って、のでなんとかしてくれませんか」すると市役所が、措置をしましょう」こうしてできあがった〈地区計画〉は、住民側が申請してつくらせたものということになり、最終的には市が都市計画として承認をします。
現在の街づくりは、実際には、区役所や市役所の都市計画課の役人が提案してつくっていく場合がいちばん多く、お役人の感性、能力が問われることになります。
都市計画課の役人にとって必要なのは、こまかなことを自分で一々やるのではなく、住民と「公」との話し合いのなかでなにが重要なのかを大局的につかみ、常識的な判断を下すことです。
街のイメージは、はじめは民間の都市計画の専門家につくってもらう。
それを住民のなかで練る。
住民と役所が議論をし、折り合わなかったら、再度、民間の専門家に考えてもらう。
調停役を役人がやれればいちばんいいのだが、とかく「公」と「私」とは対立図式になりがちです。
住民は運動を起こして市役所や県庁に掛け合う。
それに対して役人は組織をまもる、あくまでも法律をまもるという対応になる。
そうなると、役人側ではなく、また住民べったりでもないかたちで、「公」と「私」の間に立って、両方の意見をまとめる民間の存在が必要になる。
都市計画家、弁護士、建築家といった人たちがそれですね。
借家人の街づくりとは都会のアパートやマンションに部屋を借りて住んでいる人たち、つまり借家人が街づくりに参加したいと思ったら、どうすればいいのか。
まず近くのコミュニティセンターへ行ってみることです。
地域にはコミュニティセンターというものがあります。
コミュニティセンターでは、建物の使い方をあまり制限せず、地域住民が自主的に運営できるようになっている。
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